外国人を採用する際は、雇用形態に限らずハローワークへの届出が必要です。手続きを怠ると罰則の対象となりますので忘れずに行いましょう。
外国人を雇用する際に必要な手続きとして、ハローワークに提出する外国人雇用状況の届出について解説します。
外国人雇用状況の届出とは、外国人労働者の雇用の安定と充実した働き方のため、法律に基づいて外国人を雇用する事業主がハローワークで行う届出です。外国人労働者の雇入れ時、または離職時に「外国人雇用状況の届出」を義務付けています。
外国人労働者が日本で就職し働く際、適切な雇用状況であるかどうかを国が把握するために外国人雇用状況の届出が義務付けられています。
「労働施策総合推進法第28条」に基づき、外国人を雇用する事業主は、厚生労働省令で定める内容を確認して厚生労働大臣に届出を提出しなければならないと定めています。
●労働施策総合推進法第28条~外国人雇用状況の届出等
事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合に、厚生労働省令で定め るところにより、その者の氏名、在留資格(出入国管理及び難民認定法第二条の二第一項に規定する在留資格をいう。次項において同じ。)、在留期間(同条第三項に規定する在留期間をいう。)その他厚生労働省令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
外国人雇用状況の届出が必要な対象者は、「外交」「公用」「特別永住者」「帰化」を除くすべての在留資格の取得者です。また、外国人アルバイトや派遣社員も対象になります。
※外国人雇用状況の届出が不要なケース
● 外交、公用:外交官とその家族などに発行される在留資格です。各国首脳、大使や領事、外交官など外国の貴賓など日本に入国する外国人に付与されます。
● 特別永住者:1991年11月1日に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」に定められた在留資格です。主に、韓国人、朝鮮人、台湾人が取得している在留資格で、在留カードの交付はなく、特別永住者証明書が交付されます。
● 帰化:外国人が日本国籍を取得して日本人になることです。外国人が日本で在留するために必要な在留資格は不要になります。帰化することで日本人と同等の権利を持つことが可能になります。
※外国人雇用状況の届出が必要なケース
● アルバイト:留学生や家族滞在などの在留資格を持つ外国人は届出が必要です。資格外活動許可を受けていることを確認してください。
短期アルバイトで外国人を雇用した場合にも、忘れずに届出を行いましょう。
● 派遣社員:外国人の派遣社員も届出が必要で、派遣元の事業主が行います。
● 外交、公用、特別永住者、帰化以外の在留資格
外国人雇用状況の届出の手続きは、ハローワーク窓口での届出、または外国人雇用状況届出システムを利用しオンラインでの届出も可能です。
外国人を雇用する会社の住所を管轄しているハローワークの窓口へ届出を行ってください。
雇用保険の被保険者とならない外国人の外国人雇用状況届出書の場合は、オンラインで外国人雇用状況届出システムを利用して申請できます。
ハローワークインターネットサービスの「申請等をご利用の方へ」に、外国人雇用状況届出システム操作マニュアルが掲載されていますので、操作法にしたがって届出を行いましょう。24時間 365日いつでも届出ができます。
なお、これまでに、ハローワーク窓口で外国人雇用状況の届出を行っている事業者の方は、オンライン画面からユーザIDおよびパスワードを取得することはできないため、一旦ハローワークに問い合わせてから、オンライン申請できるように「外国人雇用状況届出電子届出切替・変更申請書」を提出して切り替えの手続きが必要になります。
外国人雇用状況の届出については、雇用保険の加入有無によって提出期限は異なりますので確認しましょう。
● 雇用保険の被保険者である場合
● 雇用保険の被保険者ではない場合
雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)または雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)を提出することで、外国人雇用状況の届出を行ったこととなります。届出期限は、雇用保険被保険者資格取得届または雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限と同様です。
・届出の提出期限:雇入れの場合は翌月10日まで/離職の場合は翌日から起算して10日以内
外国人雇用状況届出書(様式第3号)を提出してください。
・届出の提出期限:雇入れ、離職、いずれも翌月末日まで
・記載事項:外国人の氏名、在留資格、生年月日、国籍と地域、在留カード番号、離職年月日、届け出た事業者の名称、所在地、電話番号、氏名、押印
外国人雇用状況の届出をハローワークに提出する際は、以下のポイントに注意しましょう。
● 届出事項を正しく記載する
● 届出を怠ると罰則の対象になる
● 外国人の雇用時と離職時に届出を行う
外国人雇用状況の届出に記載する内容は、正しく記入します。在留カードやパスポートの内容と照らし合わせて、誤りがないように気を付けましょう。
また、在留資格が「特定技能」の場合には分野を、「特定活動」の場合には活動類型を記入します。パスポートに添付されている指定書から確認することが可能です。
外国人雇用状況の届出を提出することで、外国人の身元を確認して不法就労の防止につなげることができます。
記載事項は、以下の項目に記入します。
● 氏名
● 在留資格
● 在留期間
● 生年月日
● 性別
● 国籍
● 資格外活動許可の有無
● 在留カードの番号
● 雇入れ年月日または離職年月日
● 事業所の名称、所在地、電話番号など
● 事業所の氏名
● 社会保険労務士の記載欄
万が一、外国人雇用状況の届出を提出しなかった場合は、罰則の対象となりますので忘れずに手続きを行いましょう。
罰則は、不法就労助長罪とみなされた場合に「3年以下の懲役や300万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。もし外国人雇用状況届出書を出し忘れた場合には、速やかにハローワークに問い合わせて支持を仰いでください。
外国人雇用状況の届出は、外国人を雇用する場合と退職する場合に必要になります。
退職時に「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出した場合は、届出は不要です。
なお、届出を行う際は、外国人労働者の在留カードまたは旅券(パスポート)の提示が必要になります。
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