書字障害について、これまで書いてきました。今回は、書字障害の2つのタイプについて考えていきます。
人間の認知処理の様式について最初に述べていきます。人間が学習したり、周囲のものを把握し、理解していく際には2つの認知の処理様式があります。
「継次処理」と「同時処理」です。
この2つは個人の特性によって異なります。多くの場合は、このどちらかの様式にあてはまり、書字障害などの学習支援を行う上では、本人の得意な様式を把握し、そしてその様式に合う支援方法を選ぶことが重要になってきます。
では、そもそも「継次処理」と「同時処理」とは一体何なのでしょうか?
「継次処理」とは、情報を1つずつ時間的な順序によって処理する様式のことです。
「同時処理」とは、複数の情報をその関連性に着目して全体的に処理する様式のことです。
この2つの違いを具体例を挙げて説明してみます。
例えば、みなさんが「初めて行く場所」の道順を把握する際、AとBのどちらが理解しやすいですか。
タイプA:文字によって、順番に理解する。(例:①駅のロータリーを左にまがる。②50メートル進んで右手に見えるコンビニを左に曲がる。2つ目の信号機を左に曲がる。)
タイプB:地図によって、絵や位置、言語などの情報を一気に見て理解する。
さあ、どちらの方が楽に理解できそうでしょうか。タイプAの方は「継次処理タイプ」です。そして、タイプBの方は「同時処理タイプ」です。
書字障害の子どもの多くは、漢字の学習を苦手としています。最近では、この2つのタイプに合わせた便利な学習ソフトも開発されているので、少し紹介します。
まず、「継次処理タイプ」のお子様には、
このような、漢字の部首を細分化して、順番に学習するやり方が効果的です。カード式とeブックがあります。
次に、「同時処理タイプ」のお子様には、
このやり方は、順番に覚えるというよりは、初めに全体を見てからその部分を探っていくタイプと言えます。このタイプでは、カード式よりもタブレットなどを活用する方が学習効果が高いと言えます。
今回は、学習障害における2つのタイプについて書きました。