工業製品製造業分野における特定技能外国人受入れ運用要領
1.制定の趣旨と背景
特定技能制度は、人材確保が困難な産業分野において、一定の技能を有する外国人を受け入れるための仕組みであり、製造業分野はその中心的分野の一つです。
令和4年の制度開始以降、複数回の改正を経て、令和7年5月までに最新の基準が整備されました。
2.制度の法的根拠と関連告示
· 出入国管理及び難民認定法
· 特定技能基準省令(平成31年法務省令第5号)
· 上陸基準省令(平成2年法務省令第16号)
· 経済産業省告示第127号(製造業分野固有の基準)
これらの法令群により、分野ごとの特性を踏まえた詳細な受入基準・支援内容が定めらました。
3.目的と適用範囲
本要領の目的は、告示に基づく製造業分野固有の基準の詳細を明示し、分野内の全ての関係者(受入企業、登録支援機関、行政機関等)が適切に制度を運用することにあります。
本要領は、特定技能1号および2号の外国人を対象とし、製造業分野における業務範囲、技能要件、雇用条件、事業所要件などを包括的に定めます。
4.特定技能外国人が従事できる業務の範囲
(1)基本的な位置づけ
特定技能外国人は、法務大臣が指定する「特定産業分野」に属する事業所で、相当程度の知識または経験を必要とする技能(1号)または熟練した技能(2号)を要する業務に従事します。
製造業分野では、日本標準産業分類(総務省告示)に基づき、対象となる中分類・小分類・細分類が指定されています。
5.対象となる産業分類(日本標準産業分類に基づく)
(1)特定技能1号外国人が活動できる事業所
次の産業に属する事業所で、製造品出荷額等が直近1年間に発生していることが条件です。
· 繊維工業、パルプ・紙・紙加工品製造業
· 印刷・同関連業
· プラスチック製品製造業
· コンクリート製品、陶磁器製造業
· 鉄鋼業(高炉による製鉄~圧延・鋼管製造・鉄骨製造等)
· 金属製品塗装業、製缶板金業、金属製サッシ・ドア製造業
· ドラム缶更生業、RPF製造業、こん包業 等
(2)特定技能1号および2号外国人が活動できる事業所
次の19分野は、1号と2号のいずれも活動できます。
· 鋳型製造業、鉄・非鉄素形材製造業
· 機械刃物、作業工具、配管附属品製造業
· めっき、熱処理、アルミ陽極酸化処理業
· ボルト・ナット類製造業
· 一般機械器具、生産用・業務用機械器具製造業
· 電子部品・デバイス・電気機械・情報通信機械製造業
· 工業用模型製造業
これらの産業は、製造業分野全体の中でも技能の蓄積と需要の高い領域であり、技能移行・熟練化の観点から特定技能2号への移行が可能です。
6.技能要件・試験制度
(1)特定技能1号
次のいずれかにより技能水準が確認される。
· 各職種・作業ごとの「特定技能評価試験」に合格
· 技能実習2号を良好に修了
対象業務は、試験区分と業務区分に対応しており、たとえば「鋳造」「溶接」「プレス加工」「仕上げ」など、実際の製造工程に即した内容
・日本語能力試験に合格(N4等)
(2)特定技能2号
より高度な技能を有する者として、次の条件を満たす必要があります。
· 「製造分野特定技能2号評価試験」および「ビジネス・キャリア検定3級」に合格し、一定の実務経験を有する
または
· 「技能検定1級」に合格し、実務経験を有する
2号は熟練労働者として位置づけられ、在留期間の上限がなく、家族帯同も可能となります。
7.雇用契約および労働条件の基準
(1)契約の基本原則
特定技能雇用契約は、労働基準法その他の労働関係法令に適合している必要があります。
また、賃金・労働時間・福利厚生等は同等の日本人労働者と同等以上でなければなりません。
(2)事業所の要件
事業所は、上記の対象産業分類に属し、実際に該当する製造活動を行っていること(製造品出荷額等があること)が必要です。
単なる請負・人材派遣のみを目的とする事業所は対象外。
8.特定技能外国人支援計画
受入機関は、法第2条の5第5項に基づき、1号外国人に対して以下の支援を実施する義務を負います。
· 入国前ガイダンス、空港送迎、住居確保
· 生活オリエンテーション、日本語学習支援
· 相談対応、転職支援等
登録支援機関に委託する場合は、支援計画内容を明確化し、実施状況を記録・報告する必要があります。
9.業務の範囲と付随業務
特定技能外国人が従事できるのは、上記で定められた産業における製造工程のうち、技能水準に応じた業務です。
ただし、当該業務に付随する関連作業(例:検査、清掃、部品管理、型保守など)に従事することは差し支えありません。
10.運用上の留意事項
· 技能試験や職種分類は、技能実習制度との整合性を保つこと。
· 受入企業は、労働環境・安全衛生・人権保護等に十分配慮すること。
· 特定技能外国人が不当な転職制限や低賃金労働を強いられることのないよう監督指導を徹底する。
· 行政機関・支援機関・業界団体は、連携して運用状況を定期的に点検する。
11.改正の経緯(概要)
· 令和4年5月25日 初版公表
· 令和4年8月30日~令和7年5月26日 数次改正により、対象産業・試験制度・評価基準等を更新
· 令和6年以降 2号拡大および技能移行円滑化の方針を反映
【出典:入管庁作成運用要領別冊】
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